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エジプトへの逃避途上の休息

16世紀前半、ドナウ川流域で風景を丁寧に描いた画家たちを「ドナウ派」と呼ぶ。この作品は、背後の樹木、城が建つ中景の山、遠景の雪山と谷間の風景で遠近感を表している。クラーナハはドナウ派の父ともされている。
ヘロデの迫害から逃れるためにエジプトへ向かう聖家族は「マタイによる福音書」に記され、初期キリスト教時代のモザイクにみられる。「逃避途上の休息」という主題は中世末期に現れた。構成要素として「棕櫚(しゅろ)の木の奇跡」と「泉の奇跡」がある。この作品では、天使たちが奏楽で幼子イエスを慰め、泉の水でイエスの渇きを癒やしている。
左前方の石に1504年と書かれた紙が置かれ、LCを組み合わせたモノグラムが書かれた紙が立てかけられている。本名ルーカス・マーラーからクラーナハという雅号を用いている。

世界美術大全集14 北方ルネサンス
1500年代
クラーナハ
エジプトへの逃避途上の休息
1504年 板 テンペラ 70.7×53cm
ベルリン 国立絵画館